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コンバージョン率を上げる方法|改善の基本と、成果につながる実践ステップ

公開日 2026.06.18最終更新 2026.06.18読了 約20分
▶ この記事の結論

結論から言えば、コンバージョン率(CVR)を上げる近道は、「流入の質」「受け皿となるページ」「行動への導線」の三つを切り分け、ゴールに近いところから順に整えていくことです。アクセスはそれなりにあるのに問い合わせや購入につながらない——その原因は、たいてい一つではなく、複数の小さな取りこぼしが重なっています。広告費を増やして訪問者を「増やす」前に、いま来ている人を「取りこぼさない」ほうが、費用をかけずに成果を伸ばせる場合が少なくありません。本記事では、CVRの定義と計算、業種で大きく異なる目安の読み方から、改善の考え方、ファーストビュー・CTA・フォーム・信頼要素・表示速度・スマホといった具体策、A/Bテストによる検証、そしてよくある失敗までを、中小事業者の方が今日から手を動かせるよう、順を追って解説します。

結論:CVR改善は「流入の質×受け皿×導線」で考える

まず結論からお伝えします。コンバージョン率(CVR)を上げる最短ルートは、原因を「流入の質」「受け皿となるページ」「行動への導線」の三つに切り分け、ゴールに最も近いところから順に整えていくことです。「アクセスはあるのに成果が出ない」という悩みの裏側には、たいてい一つの大きな欠陥ではなく、いくつもの小さな取りこぼしが重なっています。それらを一気に直そうとすると、どの変更が効いたのか分からなくなります。だからこそ、切り分けと順序が大切なのです。

もう少し具体的に言い換えます。来ている人が、そもそも自社の客層と合っているか(流入の質)。たどり着いたページが、その人の疑問に答えられているか(受け皿)。次の一歩へ迷わず進めるようになっているか(導線)。この三つのどこかが詰まっていれば、訪問者は成果に至らず去っていきます。逆に言えば、詰まりを一つずつ外していけば、いま来ている人だけでも成果は着実に増えます。

ここで一つ、安心していただきたい事実があります。CVR改善は、広告費を増やすよりも費用がかからず、訪問者にも負担をかけない施策だということです。売上は「集客 × CVR × 単価」の掛け合わせで決まります。集客を増やすには広告費がかかり、単価を上げるのは簡単ではありません。その点、CVR改善は、すでに来ている訪問者から取りこぼしていた成果を拾い直す作業です。同じ1,000人の訪問でも、CVRが1%から2%になれば、成果は単純に倍になります。元手の小さい中小事業者にとって、ここは最も投資対効果の高い領域なのです。

この記事では、CVRについて中小事業者の方が知っておきたいことを、順番に積み上げていきます。具体的には、(1)CVRの定義と計算、(2)業種で大きく異なる目安の読み方、(3)改善の考え方(三つの切り分けと優先順位)、(4)受け皿を整える具体策、(5)導線を磨く具体策、(6)表示速度とスマホ、(7)計測とA/Bテスト、(8)よくある失敗、という流れです。最後まで読めば、自社サイトのどこから手をつければよいか、その判断軸が手に入ります。

CVR改善の目的は「数字を一時的に動かすこと」ではなく、「正しい相手に、迷わず行動してもらえる状態をつくること」です。小手先のテクニックより、訪問者の体験を整える発想が、結局は遠回りに見えて近道になります。

CVR(コンバージョン率)とは何か、どう計算するか

まず言葉の意味を、誤解のないように整理します。CVRとは「Conversion Rate(コンバージョン率)」の略で、サイトを訪れた人のうち、あらかじめ定めた成果に至った人の割合を指します。ここでいう「成果(コンバージョン)」とは、購入・問い合わせ・予約・資料請求・会員登録・電話発信など、その事業にとって価値のある行動のことです。何を成果と定めるかは事業によって異なります。

計算式は、いたってシンプルです。

項目内容
計算式コンバージョン数 ÷ 訪問数 × 100(%)
1,000人が訪問し、20件の問い合わせ → CVRは2%
注意点分母を「セッション数」にするか「ユーザー数」にするかで数値が変わる

ここで一つ、つまずきやすい点があります。分母を何にするかで、CVRの数値は変わるのです。同じ人が一日に二回訪れた場合、「ユーザー数」で数えれば1ですが、「セッション数(訪問の回数)」で数えれば2になります。どちらが正しいということはありませんが、社内では定義を一つに固定し、つねに同じ物差しで測ることが欠かせません。物差しが揺れていては、改善の前後を比べても意味がありません。

そしてCVRを語る前に、必ず決めておくべきことがあります。それは「自社にとっての成果は何か」をはっきりさせることです。ネットショップなら「購入完了」、士業やBtoBなら「問い合わせ」や「資料請求」、店舗なら「予約」や「電話発信」など、事業によってゴールは違います。さらに、いきなり最終ゴールを狙うのが難しい場合は、その手前に「マイクロコンバージョン(中間目標)」を置く考え方も有効です。たとえば「資料ダウンロード → 見積依頼 → 問い合わせ」と段階を設ければ、どの段階で離脱しているかが見え、改善の手がかりになります。測りたいものを定義することが、改善の出発点なのです。

CVRの目安は「業種で大きく異なる」が大前提

「自社のCVRは高いのか、低いのか」を知りたくなるのは自然なことです。ただし、ここには大きな落とし穴があります。CVRの平均値や目安は、業種・商材・何を成果と定めるかによって大きく変わり、他社の数字との単純比較はほとんど意味をなさない、ということです。まずはこの前提を強くお伝えしておきます。

一般論として、全業種をならすと数%程度(おおむね2〜3%前後)が一つの目安として語られることが多いものの、これはあくまで「ならした」数字にすぎません。実際には、業種によって大きな幅があります。一般的に言われる傾向を、目安として整理します。

分類CVRの傾向(一般的な目安)なぜそうなるか
コンサル・金融など比較的高め成果地点が「資料請求・相談」など軽いことが多い
ネットショップ(EC)数%前後「購入完了」という重いゴールが成果地点
ソフトウェア・SaaS低めになりやすい検討期間が長く、比較されやすい

さらに、流入経路によってもCVRは大きく変わります。一般的に、検索エンジンからの自然流入(SEO経由)は、すでに自分で課題を意識して調べている人が多いため、成果につながりやすいとされます。一方、ディスプレイ広告のように「たまたま目に入った」人が多い流入は、CVRが低くなる傾向があります。同じサイトでも、入口が違えば訪問者の温度感が違うのです。デバイスでも差があり、一般にパソコンよりスマートフォンのほうがCVRは低めに出やすいとされます。これは、スマホでは「とりあえず見ているだけ」の段階の人が多いことなどが背景にあります。

では、目安はどう使えばよいのでしょうか。答えは明快です。他社や業界平均と比べて一喜一憂するのではなく、自社の過去の数値と比べて伸ばすことを目標にすること。「先月より今月のCVRが上がったか」「この施策の前後でどう変わったか」という比較こそが、改善の役に立ちます。業界平均は「自社がだいたいどのあたりにいるか」を大まかに知る参考程度にとどめ、振り回されないようにしてください。

改善の考え方:三つの切り分けと、ゴールに近い順

ここからが本記事の核心です。CVRを上げるとき、最も大切なのは「どこに原因があるか」を切り分け、効果の大きいところから手をつける姿勢です。やみくもにデザインを変えたり、流行りの施策を取り入れたりする前に、まず構造で考えましょう。CVRに影響する要素は、大きく三つに分けられます。

切り分け問い主な打ち手
流入の質来ている人は、自社の客層と合っているかキーワード・広告ターゲットの見直し
受け皿(ページ)たどり着いたページは、疑問に答えているかファーストビュー・信頼要素・内容の改善
導線次の一歩へ迷わず進めるかCTA・フォーム・ナビゲーションの改善

まず「流入の質」を疑う

意外に見落とされがちなのが、最初の「流入の質」です。そもそも自社の客層と合っていない人ばかりが来ていれば、ページをどれだけ磨いてもCVRは上がりません。たとえば、無料情報を探している人ばかりが集まるキーワードで上位表示されていても、有料サービスの問い合わせにはつながりにくいでしょう。広告であればターゲット設定や配信面を、SEOであれば狙うキーワードの「検索意図」を見直すことが、遠回りに見えて効く場合があります。アクセスは多いのにCVRが極端に低いときは、まずここを疑ってください。検索からの集客全般についてはSEO対策とは何かもあわせてご覧ください。

ゴールに近いところから整える

受け皿と導線に関しては、改善の順序に鉄則があります。それは「ゴール(成果地点)に近いところから整える」こと。理由はシンプルで、ゴールまでの距離が近い箇所ほど、少ない手間で成果に直結しやすいからです。たとえば、フォームの入力途中で離脱している人を救えれば、その人たちはもう一歩で成果に至るところまで来ていた人たちです。一方、ファーストビューの改善は影響範囲が広いぶん、成果に変わるまでの距離は遠くなります。一般的な優先順位を整理すると、次のようになります。

  1. フォーム(入力の最後の壁):あと一歩の人を取りこぼしていないか。
  2. CTA(行動を促すボタン):次の一歩が分かりやすく、目立っているか。
  3. ファーストビュー(入口):そもそも読み進めてもらえているか。
  4. 信頼要素・本文:不安なく行動できる材料がそろっているか。

実際、現場でよく行われている改善施策の調査でも、導線設計やナビゲーションの見直し、フォーム改善、CTAの最適化といった「ゴールに近い施策」が上位を占めています。まずはアクセス解析で「どのページのどこで離脱が多いか」という事実をつかみ、最も影響の大きいボトルネックを一つ選んで手をつける。これが、限られた時間と予算で成果を出すための現実的な進め方です。

受け皿を整える:ファーストビューと信頼要素

切り分けの考え方を押さえたところで、ここからは具体策に入ります。まずは「受け皿となるページ」の改善です。訪問者がたどり着いたページが、その人の疑問や不安に答えられていなければ、次の一歩には進んでもらえません。受け皿の良し悪しを決める二大要素が、ファーストビューと信頼要素です。

ファーストビューで「自分ごと」だと伝える

ファーストビューとは、ページを開いた瞬間にスクロールせず見えている画面のことです。ここで「誰の、どんな悩みを、どう解決するサイトか」が数秒で伝わらなければ、訪問者の多くは黙って離れていきます。どれだけ本文が充実していても、入口で「自分には関係ない」と判断されれば、その先は読まれません。一般的に、申し込み特化のランディングページでは7割以上、コーポレートサイトでも4〜6割程度が最初の画面で離脱するとされ、CVRはこの入口で大きく左右されます。

改善の勘所は、見た目の美しさより「伝わるか」を優先することです。よくある失敗が「おしゃれさを優先した結果、何の会社か分からない」状態。キャッチコピーは、機能の羅列ではなく訪問者が得られる結果(ベネフィット)を言い切り、広告から来た人には広告で見せた言葉と内容を一致させます。ファーストビューの作り込みは単独でも大きなテーマなので、詳しくはファーストビューの作り方を、申し込み獲得に特化したページについてはランディングページ(LP)とはをあわせてご覧ください。

信頼要素で「本当に大丈夫か」を解消する

もう一つの柱が信頼要素です。人は、知らない相手に対しては慎重になります。「この会社に頼んで大丈夫か」「本当に効果があるのか」という不安をその場で取り除く材料を用意できているかが、行動の最後の後押しになります。とくにBtoBや高額な商材、初めての来店を促すサービス業では、信頼要素の有無がCVRを大きく分けます。代表的なものを整理します。

  • 実績の数字:導入社数、施工件数、創業年数など、事実に基づく数字。
  • 利用者の声・事例:具体的な悩みと、それがどう解決したかが分かる体験談。
  • 第三者からの評価:受賞歴、メディア掲載、資格や認定など。
  • 安心の条件:料金の明朗さ、保証、対応範囲など、不安を打ち消す約束。
  • 運営者の顔・所在:誰が、どこで運営しているかが分かる情報。

ここで重要なのは、誇張しないことです。実態を超えた表現は、たとえ一時的にCVRを上げても、問い合わせ後の落胆やトラブルにつながり、長い目で見れば信頼を損ないます。手元にある事実を、正直に、分かりやすく並べる。それだけで十分に効果は出ます。とくに料金や対応範囲を明示することは、訪問者の「問い合わせる前に知りたい」という不安を先回りで解消し、確度の高い問い合わせを呼び込みます。

導線を磨く:CTAの最適化

受け皿が整ったら、次は「導線」です。導線とは、訪問者が成果に向かって進む道筋のこと。その道のりで最も重要な部品が、CTA(Call To Action=行動喚起)です。CTAとは「お問い合わせ」「無料で相談する」「カートに入れる」といった、次の行動を促すボタンやリンクを指します。どんなに良いページでも、次に何をすればいいかが分からなければ、訪問者は行動できません。

CTAの改善は、比較的少ない手間でCVRに効きやすい、費用対効果の高い領域です。押さえるべき要点を整理します。

観点悪い例良い例・改善の方向
文言「送信」「クリック」「無料で相談する」など、押した先が分かる言葉
色・形背景に埋もれて目立たない周囲と対照的な色で、押しやすい大きさにする
位置ページ最下部に一つだけファーストビューと各区切りに複数配置する
選択肢が多すぎて迷わせる最優先の行動を一つに絞って目立たせる

文言については、クリックした先で何が起こるかが分かる、具体的な言葉にするのが基本です。「送信」より「無料で相談する」、「詳しくはこちら」より「料金プランを見る」のほうが、訪問者は安心して押せます。「今すぐ」「無料」「最短◯日」など、行動の負担の軽さや得られるものを添えると、後押しになります。

配置については、ファーストビュー内に主要なCTAを必ず一つ置き、加えてページの各区切りや、関心が高まる箇所に複数配置するのが効果的です。長いページを最後まで読んだ人が、行動するボタンを探して画面をさまよう——これは典型的な取りこぼしです。スクロールに追従して常に表示される固定ボタンも、スマホでは特に有効です。ただし、数を増やすことと、選択肢を増やすことは別物です。一つの画面で「あれもこれも」と複数の異なる行動を並べると、人はかえって決められなくなります。最も優先したい行動を一つに定め、それを最も目立たせてください。

導線を磨く:フォーム最適化(EFO)

導線の終着点、そして最後にして最大の壁が、入力フォームです。問い合わせや購入の意思があっても、フォームの使い勝手が悪ければ、人は途中で諦めます。一般に、フォームまでたどり着いた人のかなりの割合が、入力を完了せずに離脱するとも言われます。ここを改善する取り組みをEFO(Entry Form Optimization=入力フォーム最適化)と呼びます。あと一歩の人を救う、極めて費用対効果の高い施策です。

フォーム改善の要点を整理します。いずれも「入力する人の負担とストレスを減らす」という一点に集約されます。

  • 入力項目を減らす:本当に必要な項目だけに絞る。任意項目は思い切って削る。
  • 入力の手間を減らす:郵便番号からの住所自動入力、選択式の活用、全角・半角の自動変換など。
  • エラーを分かりやすく:どこが間違っているかをその場で、優しい言葉で示す。
  • 進捗と所要時間を示す:「あと1ステップ」「入力は約1分」など、終わりが見える表示。
  • スマホで操作しやすく:指で押しやすい大きさ、適切なキーボードの自動切り替え。
  • 離脱の誘惑を減らす:入力画面では余計なリンクやメニューを控えめにする。

ただし、ここに大きな注意点があります。項目を減らせばCVRは上がりますが、減らしすぎると問い合わせの質が落ちることがあるのです。たとえば、商談に必要な情報(業種、予算感、相談内容など)まで削ってしまうと、問い合わせの数は増えても、その後の対応で何度もやり取りが必要になり、かえって手間が増えます。「数」と「質」のバランスを、自社の営業体制に合わせて見極めてください。最低限の連絡先だけでまず受け、詳しい話は後から聞く、という割り切りが合う事業もあれば、最初にしっかり聞いておくべき事業もあります。正解は一つではありません。

見落としがちな土台:表示速度とスマホ対応

ここまで「何を見せ、どう促すか」という中身の話をしてきましたが、その手前で成果を取りこぼす要因が二つあります。表示速度とスマホ対応です。どちらも、内容以前の「土台」でありながら、軽視されがちなポイントです。

表示速度:見られる前の離脱を防ぐ

どれほど良いページでも、表示されるまでに時間がかかれば、見られる前に離脱されます。とくにスマホで外出先から見ている人は、待つことに我慢がききません。表示が数秒遅れるだけで、離脱率は大きく跳ね上がるとされています。せっかく広告費をかけて呼び込んだ訪問者を、読み込みの遅さで取りこぼすのは、最ももったいない失敗の一つです。改善の基本は次の通りです。

  • 画像を最適化する:必要以上に大きい画像を圧縮し、適切なサイズで配信する。
  • 不要な要素を減らす:使っていない機能や、重い装飾・動画を見直す。
  • 速度を測って確認する:無料の測定ツールで現状を把握し、改善の前後を比べる。

表示速度は、感覚ではなく数値で確認できます。無料の測定ツールがいくつもあるので、まずは自社サイトを測ってみることをおすすめします。

スマホ対応:いまや多数派の閲覧環境

もう一つが、スマートフォンへの対応です。いまやホームページ閲覧の多くがスマホからであり、スマホでの見やすさ・使いやすさは、CVRに直結します。パソコンで完璧に作っても、スマホで文字が小さい、ボタンが押しにくい、レイアウトが崩れている、といった状態では、多数派の訪問者を取りこぼします。前述のフォームやCTAも、「スマホでどう見え、どう操作できるか」を基準に設計すべきです。

実務では、「スマホでまず確認し、パソコンに広げる」という順序が安全です。制約の厳しいスマホで成立する設計を先に固めれば、余裕のあるパソコンには自然に展開できます。公開前には、必ず実機のスマートフォンで、自分の指で操作して確かめてください。なぜスマホ対応がこれほど重要なのか、その背景はスマホ対応はなぜ必要かで詳しく解説しています。そもそもホームページが事業に果たす役割を整理したい方は、なぜ今ホームページが必要なのかもあわせてご覧ください。

計測と仮説検証:A/Bテストの進め方

ここまで具体策を見てきましたが、最も大切な姿勢をお伝えします。CVR改善に「これで完成」はなく、データに基づいて磨き続けるものだということです。勘や思い込みで変えるのではなく、「どこで、なぜ離脱しているか」という事実をつかみ、仮説を立て、検証する。この繰り返しが、着実に成果を伸ばします。

まずは現状を「見える化」する

改善の出発点は、現状の把握です。次のような道具を使えば、訪問者の行動が見えてきます。

  • アクセス解析:どのページに何人来て、どこで離脱し、CVRがどれくらいかを把握する基本の道具。まずは成果地点(コンバージョン)を正しく計測できるよう設定することが前提です。
  • ヒートマップ:ページのどこがよく見られ、どこでクリックされ、どこまでスクロールされたかを、色の濃淡で可視化する道具。「CTAが見られていない」「ある場所で読むのをやめている」といった事実が一目で分かります。

これらで「事実」をつかむことが、改善の質を決めます。たとえば、フォーム直前で離脱が多いならフォームに、ファーストビュー直後で離脱が多いなら入口に、というように、データが指し示すボトルネックに狙いを定める。当てずっぽうで全体をいじるより、はるかに効率的です。

A/Bテスト:二案を比べて勝者を選ぶ

A/Bテストとは、異なる2つの案(AとB)を訪問者に出し分け、どちらが良い結果を出すかを比較する手法です。たとえば、CTAの文言だけを変えた2案を用意し、より多く成果につながったほうを採用します。コツは三つあります。

  1. 変える要素は一つに絞る:同時に複数を変えると、どれが効いたか分からなくなります。
  2. 十分な数で判断する:訪問数が少ないうちに結論を出すと、偶然の差を実力と勘違いします。
  3. 影響の大きい要素から試す:キャッチコピーやCTAなど、結果が動きやすいところから。

ここで現実的な注意を一つ。A/Bテストは、訪問数が十分にあるページでこそ有効です。訪問数が少ない段階では、AとBの差が偶然なのか実力なのかを判断できず、かえって誤った結論を導きかねません。中小事業者の場合、まずは「フォームが長すぎる」「CTAが目立たない」「スマホで崩れている」といったテストするまでもない明らかな問題を先に直すほうが、確実に効果が出ます。A/Bテストは、こうした基本を整えたうえで、勘では判断しきれない細部を比べる段階の道具だと位置づけてください。

小さく速く、繰り返す

改善は、一度に大きく変えるより、仮説 → 実行 → 検証を小さく速く繰り返すほうが確実です。一手ずつ変えてデータで確かめ、良ければ残す。この積み重ねが、サイトを少しずつ強くしていきます。一度で完璧を目指さず、育てていく姿勢こそが、最終的に大きな差を生みます。

CVR改善でよくある5つの失敗

最後に、ここまでの裏返しとして、陥りがちな失敗を整理します。多くの失敗は技術ではなく、考え方のズレから生まれます。先に知っておけば、遠回りを避けられます。

失敗何が起きるか対策
数字だけを追う質の低い問い合わせが増え、利益につながらないCVRだけでなく「成果の質」と利益を見る
一度に全部変える何が効いたか分からず、再現できない一手ずつ変え、データで検証する
流入の質を無視する客層に合わない人を集め、いくら磨いても上がらないまず誰が来ているかを疑う
誇大な表現に頼る一時的に上がっても、後の落胆や信頼喪失を招く事実に基づき、正直に伝える
公開して放置する市場の変化に取り残され、徐々に成果が落ちる定期的に見直し、改善を続ける

とくに根深いのが、一番上の「数字だけを追う」失敗です。CVRは分かりやすい指標だけに、それ自体を目的化してしまいがちです。しかし前述の通り、フォームを削ってCVRを上げても、確度の低い問い合わせが増えれば、現場の対応負担ばかりが増え、利益にはつながりません。CVRはあくまで手段であり、最終的に見るべきは事業の成果と利益だという原点を、忘れないでください。

もう一つ、中小事業者がはまりやすいのが「流入の質を無視する」失敗です。ページの改善ばかりに目が向き、「そもそも自社の客になりうる人が来ているのか」という最上流の問いを飛ばしてしまう。アクセスは多いのにCVRが極端に低いときは、ページではなく流入元を疑うのが先決です。三つの切り分け——流入の質・受け皿・導線——を、つねに念頭に置いて原因を探る。この習慣が、的外れな努力を防いでくれます。

まとめ:取りこぼしを一つずつ、確実に外す

本記事では、コンバージョン率(CVR)を上げる方法を、定義から具体策、検証、失敗まで通して整理してきました。要点を振り返ります。

  • CVRとは、訪問者のうち成果に至った人の割合で、「成果数 ÷ 訪問数 × 100」で計算する。まず何を成果と定めるかを決める。
  • 目安は業種で大きく異なり、他社比較より自社の過去と比べて伸ばすことを目標にする。
  • 改善は三つに切り分け、「流入の質・受け皿・導線」のうち、ゴールに近いところから手をつける。
  • 受け皿は、ファーストビューで「自分ごと」と伝え、信頼要素で不安を取り除く。
  • 導線は、CTAを分かりやすく目立たせ、フォームの負担を減らす(ただし質とのバランスに注意)。
  • 土台として、表示速度とスマホ対応を整える。
  • 計測と検証を続け、データでボトルネックを見つけ、小さく速く改善する。

「アクセスはあるのに成果が出ない」という悩みは、裏を返せば「あと一歩で成果に至るはずの人を、どこかで取りこぼしている」ということです。その取りこぼしを、一つずつ、確実に外していく。広告費を増やす前にできることは、想像以上にたくさんあります。まずは自社サイトのアクセス解析を開き、「どのページのどこで、人は去っているのか」を確かめることから始めてみてください。

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FAQよくあるご質問

コンバージョン率(CVR)とは何ですか?どう計算しますか?
CVRとは、サイトを訪れた人のうち、購入・問い合わせ・予約・資料請求といった「成果(コンバージョン)」に至った人の割合のことです。計算式は「コンバージョン数 ÷ 訪問数 × 100」で、たとえば1,000人の訪問で20件の問い合わせがあればCVRは2%です。分母を「セッション数」にするか「ユーザー数」にするかで数値は変わるため、社内では定義を一つに固定して計測することが大切です。まずは何を「成果」と定めるかをはっきりさせるところから始めてください。
CVRの平均や目安はどのくらいですか?
一般的に、全業種をならすと数%程度(2〜3%前後)が一つの目安とされますが、業種・商材・何を成果と定めるかで大きく変わるため、平均値の一人歩きには注意が必要です。たとえばBtoBでは、ホワイトペーパーのダウンロードで5〜8%程度、資料請求で1〜2%程度、問い合わせで0.5〜1%程度といった具合に、ゴールが「重い」ほどCVRは下がります。他社の数字と単純比較するより、自社の過去と比べて伸ばすことを目標にするのが現実的です。
アクセスはあるのに成果が出ません。何から手をつければいいですか?
ゴールに最も近いところから整えるのが鉄則です。具体的には、フォームの入力途中での離脱、CTA(行動を促すボタン)の分かりにくさ、ファーストビューでの直帰、の順に確認すると、少ない手間で効果が出やすくなります。アクセス解析で「どのページのどこで離れているか」を先につかみ、影響の大きい一点から手をつけてください。やみくもに全体をいじるより、ボトルネックを一つずつ外すほうが確実です。
CVRを上げれば、必ず売上や利益も増えますか?
必ずしもそうとは限りません。たとえばフォームの項目を削りすぎてCVRが上がっても、確度の低い問い合わせが増え、対応の手間ばかり増えることがあります。逆に、ハードルを少し上げてCVR自体は下がっても、商談化しやすい質の高い問い合わせが増えれば、事業としては好ましいこともあります。CVRは大切な指標ですが、最終的に見るべきは「成果の質」と「事業の利益」です。数字だけを追わないようにしてください。
A/Bテストは小さな会社でもやるべきですか?
訪問数が十分にあるページなら有効ですが、訪問数が少ない段階では、まず「明らかな改善」を先に済ませるほうが効果的です。フォームが長すぎる、CTAが目立たない、スマホで崩れている、といった分かりやすい問題は、テストするまでもなく直すべきものです。A/Bテストは、こうした基本を整えたうえで、勘では判断しきれない細部を比べるときに力を発揮します。順番を間違えないことが大切です。
改善はどのくらいの頻度で続ければよいですか?
公開して終わりにせず、継続的に見直すことをおすすめします。市場や競合、訪問者のニーズは変わり続けるため、CVRに「これで完成」はありません。理想は、月に一度はアクセス解析を眺め、気になる箇所を一つずつ仮説検証していくこと。一度に大きく変えるより、小さな改善を積み重ねるほうが、原因と結果の対応が見えやすく、確実に育てていけます。
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